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    『秘書とあしゅらとハリケーン』

    旦那はあしゅらの事なんでも知りたいんだよ、って話。
    短編SS。

    私的ハリ×あしゅテンプレート。
    「馴れ初めに限り無く良く似た何か」を書く時に
    それを知る完全な第三者として秘書以外の選択肢を見いだせないのは、
    まだまだ妄想力が足りないということか。










    当然のごとく腐要素ダメな人はリターン推奨。


    「…お疲れ様です、社長。」

    PM10:00。
    いつものように秘書が部屋にやってくる。
    その音を合図に机に置かれた書類の束を見る手を止め、
    傍らに置かれる紅茶の香りを嗅ぎながらその日を思い返す。

    それは東京に本社を構えるようになってからの習慣。
    どんな状態でも一日たりとも欠かさなかった一種の願掛け。
    だからその動作に淀みはなく…しかし、心には一つの淀みを抱えたまま、
    その日、あしゅらはティーカップを手にとった。

    「…ご気分優れませんか?」
    その”淀み”を察したのだろう。
    いつもは置かないミルクをカップの隣に添えながら秘書が言う。
    「様子が、いつもと違うので。」
    「あぁ、いえ、そういうのはないのですが…」

    「ちょっと…気がかりが」。言いながらカップに口をつける。
    いつも通り、少し濃い目に入れられたダージリンの香りが鼻を抜けた。
    流石、雇用条件を『いい茶を入れられる』としただけの事はある。
    こちらの好みを把握した上でその茶葉にとって最適の分量を的確に量る、
    相変わらずのいい引き出し方だ。
    「…。」
    ちらりと横目で秘書を伺い、戻す。
    …この人間は、この会社の誰よりも信頼している。
    そうでなくても列車1台、
    裸同然の状態で東京の空を飛び出した頃からの付き合いだ。
    隠してもこうしてすぐにバレてしまう。
    ならば、さっさと言ってしまったほうがお互いの関係にいい…のだが。
    果たして言って「大丈夫」なんだろうか。不安がよぎる。

    「実は…その。」
    「はい。」
    「社長という身の関係上とても言いにくいのですが…
     後々事件になると困りますし、貴方には話しておこうと思います。」
    「はい。」
    「…驚かないで聞いてくださいよ?」
    「はい。」





    『わたくしに、最近』。
    ―――そう、言おうとしたその時。
    一陣の風と共に、見忘れない”青”の巨躯が自分の眼前を横切った。







    「…なるほど、ここが”仕事場”というやつか。」

    窓から入ってきたのか。
    それとも、神にしか持ち得ない術の一種か。
    青い体、金色に光るHの文字、異常なほどスラリと伸びた手足と黒いブレス。
    巻き起こる嵐で乱れ飛ぶ書類と、耳障りな音と共に暴れるカーテン。
    振り向きざま殴られたように痛む頭が急落時の決算発表のように
    冷静な判断を全くさせてくれない。

    「ど、どど、どうして貴方が!」
    突然のことに思わず失っていた声を取り戻して叫ぶ。
    内心、脳裏に『噂をすれば影』という言葉が浮かんだのは認めるが、
    だからといって本当に来るとは思っていなかった。
    ―――もし自主的に気を失えるのなら、いますぐに失ってしまいたい。

    「なんだ?「ど」ばっかり…ドッドドーして欲しいのか?w」
    そんな自分を茶化すように、眼前の”青”が笑う。
    「だれもそんな事言ってません!」
    「ちっ、つまらんな」
    「楽しいのは貴方だけです。」
    「いや、桃鉄に飽きてな…暇だった。」
    「あぁもう!『暇だった』、じゃないですよ!
     この舞い散る書類、どうしてくれるんですか!
     まだ目を通していないものもあるというのに!」
    「また読めばいいのだろう?」
    「…そう簡単に出来るなら社長なんていらないんですよ…」
    「じゃあ辞めて嫁になるか?」
    「お断りします」
    「場所はボンビラス星でいいな。」
    「だから社長職はやめないと」
    「お、紅茶か!いつも見る度に飲みたかったのだ。」
    「無視ですか」
    「飲んでもいいな?」
    「だから人の話を」
    「他には…あぁ、ポッドに入っているのか。全部貰うぞ」
    「…あぁもう…勝手にしてください…」

    その名の通りの嵐のような登場。
    助けを求めたい脱力感の中、どうしたものかと横目に秘書を見ると、
    口角の端を上げたまま固定された「笑顔」が映る。
    パチクリとさせたままの瞳。
    初めて見た時の自分もそうだった。

    ―――貧乏神。
    それも災害を引き起こせるほどの高位のものが、
    何の制約もなく目の前で、堂々と、紅茶を飲んでいる。
    …もはや笑うしかない。

    「その…話したかった事はつまり…そういう事なのです。」
    危惧していた”事件”。
    もう、こうなっては『百聞は一見にしかず』だ。
    「最近、何故かわたくしにこの…ハリケーンボンビーが憑いてまして。
     しかもどうやら”あの貧乏神”とは別ものの存在らしく、
     物件を飛ばす力はないようなのですが、それ故退けるに退けられず…」
    「ん…これを入れたのはお前だな?」
    「! ハリ」
    いつのまにかポッドの紅茶を飲みきってしまったらしい。
    部屋での興味の対象を秘書へと向けた貧乏神に思わず息が詰まる。
    「ふうん…」
    品定めをするような瞳。
    腐っても相手は神、それも破壊神だ。
    自分のような鬼ならまだしも、単なる人間が下手に神を刺激し、
    怒らせてしまったなら無事では済むまい。
    故にオフィスに入らないよう厄除けの結界で対策していたというのに…
    一体なぜ?
    「ハリケーン、やめろ…
     社員に手を出せば社長として黙ってはいれぬ…いくら神でも!」
    ―――いや、今はそれどころではない。
    今考えるべきは守ること。手を出すようなら全力で止める覚悟で!

    「くく。」
    「…なんです!?」
    「やはりお前、可愛いな。」

    しかし、
    聞こえたのは怒りに満ちた声ではなく。

    「そうピリピリするな。礼を言いたいだけだ。」
    「礼?」
    「あしゅらが前に、
     『この紅茶を飲むのが仕事の生きがい』と言っていた。
     よくは分からないが、あしゅらが言うのだからイイモノなのだろう?
     だから、一度飲んでみたかった。気に入った。
     …礼だ。
     これからもあしゅらをよろしく頼む。」
    「え?…あ、はい。わかりました。」
    「では。」




    そして、消えた。
    …風の様に、消えた。




    「いい人…
     いや、いい神じゃないですか。」
    嵐の消えた静寂の中、ボソリと秘書が呟く。
    「あれはただの気まぐれですよ…本気になったらあんなものでは!」
    「言いつつ楽しそうですけどね、社長も。」
    「そんな事」
    「相手が貧乏神とは言え、たまには息抜きも必要ですよ?」
    「~~~…。
     やはり貴方には言わないほうがよかったかも知れません…」

    部屋を片付けるのはもう明日にしよう。
    思いながらあしゅらは呻くように溜息を漏らした。
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